IT業界におけるChatGPT・生成AIの活用事例5選紹介と導入ポイントについて解説

ChatGPTがリリースされたことをきっかけに、生成AIのビジネス活用が注目されています。しかし、生成AIのビジネスへの活用はどこの企業も検証段階であり、「具体的に自社ではどのような活用ができるのだろう?」と悩んでいる方は多いと思います。本記事では、生成AIの個人単位の生成AI活用術や企業でのビジネス活用事例と導入のポイントを紹介します。ぜひ今後の生成AI活用のビジネス活用のヒントにしてください。

この記事でわかること

  • ChatGPT・生成AIのIT業界でのビジネス活用の事例
  • ChatGPT・生成AIのビジネス活用の手順とポイント

こんな人におすすめ!!

  • ChatGPT・生成AIをビジネスで活用したいけど、自社業界での活用方法がイメージがつきづらい 経営者/管理職/AI・DX推進担当者
  • ChatGPT・生成AIをビジネスで活用のために、まずは同業界での活用のされ方をリサーチしたい 経営者/管理職/AI・DX推進担当者
  • ChatGPT・生成AIをビジネスで活用するにあたって、活用手順とポイントをインプットしたい 経営者/管理職/AI・DX推進担当者
この記事を監修した生成AIエキスパート

株式会社C And 代表取締役 / 企業の業務課題をきちんと解決できるChatGPT・生成AI活用の研修/コンサルティングのプロ。また、前職の株式会社MIXIで培ったブランドプロモーションスキルを活かし、話題化戦略を意識した制作したAIアニメCMは、Xにて680万インプレッションを記録。幅広い形で生成AIを活用した企業の課題解決に貢献。

目次

1.生成AIとは?


生成AIとは、コンピューターが人間のように様々なオリジナルコンテンツを自動で生成する革新的な技術のことです。
生成AIは、主に4つの分野で活躍しています。

皆さんが耳にしたことのあるChatGPTはテキスト生成AIの代表的なツールの1つです。
他のテキスト生成AIツールには、Google社のGeminiやAnthropic社のClaudeが性能が高いと有名なツールがあります。

つまり「ChatGPTと生成AIは違う」というより、「ChatGPTはテキスト生成AIの1つ」と考えるといいでしょう。
そして、このChatGPTをはじめとした、生成AIの高度なコンテンツ生成が、ビジネスにおいて大きく貢献することが期待されており、多くの企業がChatGPT・生成AIのビジネス活用へ関心が強まっています。

2.ITソフトウェア業界における生成AIの活用ポイントとメリット

ITソフトウェア業界において、ChatGPTや生成AIのビジネス活用は多くのメリットをもたらします。以下は、たくさんある中の代表的な活用ポイントとメリットの例です。

1.コーディングとデバッグの効率化による開発スピードの向上

ChatGPTをはじめとする、生成AIは、要件を含めたプロンプトを入力することで、高いレベルのコードを自動で生成できるため、1からコーディングするより、圧倒的にコーディング時間が短縮されます。また、エラーなどが起きたときにコードの修正なども自動で行ってくれるため、開発効率・スピードが上がることが期待されます。

2.カスタマーサポートの自動化による人件費削減

ITサービスはユーザーが多い傾向にあるため、ユーザーからの対応が行き届かないケースが多いです。ユーザーからの問い合わせへの回答を生成AIで自動化することで、カスタマーサポートの対応コストが削減されることが望めて、人件費削減などにつながります。

3.ナレッジへのアクセシビリティ向上による社員の業務効率化と高度化

IT業界はエンジニアが多い傾向にあるため、営業会社などと比べ、ナレッジをドキュメントでまとめる文化が強いです。それ自体は非常に会社にとってはいいことですが、ナレッジドキュメントが多くなりがちになります。そこを生成AIを活用することで、膨大なナレッジから、自分の必要な情報を容易にアクセス出来て、わかりやすく伝達されることで、仕事の効率がUPすることが望めます。

4.プロダクト・システムのUX向上によるユーザー定着

アプリ・ウェブサイト・自社システムへ、ChatGPTなどのテキスト生成AIの技術を取り入れることで、ユーザー一人一人にパーソナライズ化された体験(UX)を提供することができて、ユーザーの定着が望めます。

5.要件定義やプロジェクト計画書作成サポートによる質の向上

ChatGPTなどに必要事項を入力するとたたきを作ってくれたり、自身の作成した要件の抜け漏れを補填してくれるため、作成効率がUPし、プロジェクトの質が向上が見込めます。

3.ITソフトウェア業界の生成AI活用事例5選

ここからは、ITソフトウェア業界でのChatGPT・生成AIのビジネス活用事例を紹介していきます。ぜひ自社での活用のヒントにしてください。

1.NEC:生成AIのソフトウェア・システム開発への活用

NECでは、GitHub Copilotを用いることで、コード生成や単体テストコード生成を効率化を図っています。また、開発の様々な場面で生成AIが活用され、ソフトウェア・システム開発の効率化や品質向上に貢献しています。

参考:NECの生成AIとソフトウェア・システム開発への取り 組みについて

2.富士通:カスタマーサービス向け生成AIを導入

富士通は、Salesforceのカスタマーサービス向け生成AI「Einstein for Service」を導入し、サポートデスク業務の効率化を実現しました。具体的には、顧客からの問い合わせへの返信内容をAIが自動生成する「サービス返信」機能や、顧客との会話内容を要約する「会話サマリー」機能を活用し、サポート業務にかかる時間を80%以上削減することに成功しました。これにより、顧客対応のスピードと品質が向上し、さらなる顧客満足度の向上が期待されています。

参考:コンタクトセンター 生成AI活用PoCサービス : 富士通 – Salesforce

3.LINEヤフー:独自業務効率化ツール「SeekAI」を導入

LINEヤフーは、全従業員向けに生成AIを活用した業務効率化ツール「SeekAI」を導入しました。SeekAIは、RAG技術を用いて社内文書から最適な回答を生成することで、確認・問い合わせ時間を削減し、年間70~80万時間の業務効率化を目指しています。

SeekAIは、部門ごとに社内データを参照元として設定できるため、従業員は要件に最適化された回答を得られます。想定される活用シーンは、顧客対応、営業資料作成、社内教育、議事録作成、プロジェクト管理、技術スタックの検索など多岐に渡ります。

参考:LINEヤフー、RAG技術を活用した独自業務効率化ツール「SeekAI」を全従業員に本格導入。膨大な社内文書データベースから部門ごとに最適な回答を表示し、確認・問い合わせ時間を大幅に削減

4.GMOペパボ:ChatGPTを活用したマーケティング支援機能をEC関連3サービスにて提供開始

GMOペパボは、EC関連サービス「カラーミーショップ」「minne」「SUZURI」でOpenAIの「ChatGPT」APIを活用した生成AI機能を提供開始しました。
これは「カラーミーショップ」では、商品情報に基づきSNS投稿用の宣伝文を自動生成する「カラーミーAIアシスタント(β)」として提供されます。
「minne」でも同様の機能が提供予定で、「SUZURI」ではアイテムの説明文を自動生成する機能が提供予定です。

参考:GMOペパボ、AI(ChatGPT)を活用したマーケティング支援機能をEC関連3サービスにて提供開始 ~AIテクノロジーを活用した研究・開発を加速

5NTTデータ:要件定義からテスト工程までシステム開発の全フェーズで生成AIの適用を推進

NTT DATAは、生成AIをシステム開発の全工程に活用しています。具体的には、要件定義では顧客の要望を整理し、設計工程では過去のソースコードから設計情報を抽出、製造工程ではコード生成とモダナイゼーション、テスト工程ではテスト項目の自動抽出に生成AIを活用して、効果的な開発をもたらしています。

参考:生成AIを使ったNTTデータ流「新時代のシステム開発」とは ~グローバルで商用への適用実績拡大中!レガシー資産を高品質・高生産性でモダナイズ~ | DATA INSIGHT

4.ChatGPT(生成AI)のビジネス活用における5ステップの解説

このセクションでは、生成AIのビジネス活用における4つの手順について解説していきます。これから生成AIの社内導入を検討している経営者/管理職/推進担当の皆様問わず、プロジェクトを進めていくイメージをつけたい方向けのセクションです。ここでは、代表的なChatGPTの活用ステップをご紹介。

STEP
Asis整理(現状整理)

まずやるべきことは、業務の棚卸しを行い、現状Asisの業務フローを整理することが大事です。
そして、各項目でどの業務にどれくらいかかってしまっているのかの整理してコストを把握をします。

せっかく予算も期間もかけて開発したのに、全く使えないという状況が起きないようにしましょう。

STEP
課題発見

現状の業務の棚卸をして、各業務にどれくらいコストがかかっているのかを把握したら、解決するべき課題特定しましょう。

課題は、実際にその課題が解決されたらどれくらいのコスト削減が望めるのかなどのビジネスインパクトをできる限り算出することが大切です。

STEP
Tobe方針整理(理想の状態整理)

STEP1とSTEP2で整理した内容を基に、課題を解決して、「今までの業務がどのようになっているのが理想なのか」を整理します。

【例】
Asis(今までの業務):議事録を新入社員がドキュメントで自力でタイピングして作成

Tobe方針(どのようになっていれば理想なのか):議事録を自動で作成

最初は、例くらいの粒度感でも問題ないです。
この整理を基に、後続のSTEP4のソリューション立案で「議事録を自動で作成」する方法を具体化していく形になります。

STEP
ソリューション立案・選定

ここでは、STEP3で整理したTobe方針実現のためのChatGPTを活用したソリューションを検討します。

ChatGPTを活用したソリューションのアプローチは3パターンあります。

①ChatGPTのプロンプトを効率化したい業務に調整する方法
②ChatGPTを特定の業務のために応答をカスタマイズさせるGPTsを活用する方法
③ChatGPTのAPIを利用したシステム開発をして活用する方法(3の”IT業界の生成AI活用事例7選”でご紹介した事例はここに当てはまる)

それぞれのメリットデメリットを整理します。

比較項目A.ChatGPT・生成AIツールを利用B.生成AI活用システムを開発
概要①ChatGPTのプロンプトを効率化したい業務に調整する方法
②ChatGPTを特定の業務のために応答をカスタマイズさせるGPTsを活用する方法
③ChatGPTのAPIを利用したシステム開発をして活用する方法
メリット特に開発が必要ないので、比較的導入がスムーズ自社の必要要件に沿って自由にカスタマイズが可能
デメリット・誤った使用で情報流出の可能性
・ChatGPTが提供している範囲内の機能のみでカスタマイズ
・開発工数や費用の観点でコストが高くなってしまう
STEP
開発・リリース・検証改善

ChatGPT・生成AIのビジネス活用は企業によって正解が違います。そのため、開発・リリースしてそのままで終わりではなく、継続的な検証改善をしていく必要があります。

定量的な面では、STEP2で試算したビジネスインパクトがもたらされているのかを検証します。
また、定性的な面ではUIUX(使い勝手)におけるフィードバックを通して改善できる部分あるのかを洗い出します。

継続的な検証改善によって、よりビジネスインパクトの大きいChatGPT・生成AI活用が望めます。

注意点

  • 今回紹介したステップは一般的な流れではありますが、自社の状況や打ち手によっては臨機応変にステップを変更しながらプロジェクトを進行していく必要があります。

5.生成AIのビジネス活用で失敗しないのための5つのポイント

ChatGPT・生成AIのビジネス活用においては、ただChatGPTや生成AIシステムを導入するだけではなく、以下のポイントに気を付ける必要があります。

1.自社の活用可能性のある業務内容の整理とビジネスインパクトを試算する

生成AIの活用は確かにビジネスに大きなインパクトをもたらします。しかし、他社にとって生成AIによるチャットボット実装がビジネスインパクトが大きくても、自社にとって生成AIによるチャットボットの実装が同じ結果をもたらすとは限りません。きちんと自社にはどのような業務が存在しており、どんな解決が生成AIで対応できそうか?そしてそれがどれくらいの業務効率化をもたらすのか?どのくらいのコストカットをもたらすのか?ということをきちんと活用前に整理する必要があります。

2.ガイドラインの設定によるリスク管理

生成AIはビジネスインパクトが大きい反面、使い方によっては著作権侵害・情報漏洩などのリスクが潜んでいます。社内できちんと生成AI利用ガイドラインを明文化/浸透させることで、リスク管理を徹底していくことは非常に重要です。

3.継続的なPDCA

生成AIのビジネス活用は近年注目されているため多くの企業が活用に向けて取り組んできました。

しかし、まだ多くの企業がテスト段階であり、最適解を模索している最中であると考えられます。また、業界や業種によってその最適解は変わってきますので、他の企業の真似をしたからといって、その活用方法が自社にとって良いとも限りません。

ですので、継続的なPDCAを回していくことによって、自社にとっての最適解を見つけていく必要があります。

4.AIリテラシーの向上

生成AIのビジネス活用で重要な前提があります。それは使い手のAIリテラシーの向上です。例えば、ChatGPTはプロンプトを入力して、テキストが生成されますが、同じような成果を期待しても、プロンプト次第でChatGPTのテキスト生成の質は異なります。ですから、常に使い手のAIリテラシーの向上が生成AIのビジネス活用の可能性を最大限引き上げる鍵になります。ですので、生成AIを導入したから完璧!という訳ではなく、社内でのAIリテラシーの向上に向けた研修やナレッジ共有は継続して必要になります。

5.社内での生成AI活用の文化とマインドの浸透

生成AIのビジネス活用で意外に見落とされているのが、この「生成AIを活用の文化浸透」というマインドです。特に、社員各々に生成AIツールを業務活用する導入の仕方をしたとしても、使う文化がないと社員の生成AI活用に関するリテラシーも効果も向上しません。最初は誰でも慣れていないツールを触ることに抵抗がありますが、ここは経営者・管理職・推進チームのメンバーが積極的にことあるごとに生成AIツールの活用を推奨していくアクションを取る必要があります。

6.まとめ

今回はIT業界における生成AIのビジネス活用事例や実際に生成AIを活用する際の手順やポイントを紹介してきました。
これから更なる技術の発展によって、ビジネスシーンにおける生成AIの活用は今後も加速してくることでしょう。

生成AIエキスパートでは、ChatGPT・生成AIのビジネス活用の参考になる資料の無料提供を行なっていますのでこの機会に是非ご活用ください。

また、生成AIエキスパートを運営している株式会社C Andでは、企業様向けに自社業務に特化したChatGPT活用研修サービス・コンサルティングサービスを実施しております。

「ChatGPT・生成AIの活用に興味があるけど何をしたら具体的に知りたい」「ChatGPT・生成AI活用の予定はないけど情報収集をしてみたい」などご検討中の方に対して、無料相談も行なっておりますので、ぜひお申し込みください。

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